【連載記事】家庭用エスプレッソマシンでラテアートへの道~準備編~第16回「敵は己の中に在り後編。ラスボス:ボイラー(サーモスタット)」【全20回】
完全初心者が家庭用マシンでラテアート向けの泡粒の見えないレベルでクリーミーなフォームミルクを作れるようになったマル秘テクニックと全使用機材公開(全20回)
この連載記事に向いている方
- これから家庭用エスプレッソマシンを購入してラテアートもしてみたい予備軍の方
- すでに家庭用マシンは購入済みでどうしてもスチームミルクをうまく作れない方
- デロンギ社製のエスプレッソマシン(特にECP3220J系)に興味のある方および所有者
- 長文でも読破してやるぜという意気込みの方
この連載記事に向いていない方
- ラテアートの注ぎの技術を学びたい方
- 業務用マシンを使っている方
- 長文にどうしても耐えられない方
~準備編~第16回「敵は己の中に在り後編。ラスボス:ボイラー(サーモスタット)」
ついにご対面!ラスボス様のご登場です。
トピックだけ見てもなんのこっちゃという感じですが、実はこのラスボス様が長年家庭用エスプレッソマシン界の(ハードではなくソフト的な)トラブル誘発の総元締めをしてこられ、未だに現役でいらっしゃるということなんです。
なるほど、さっぱり分からん!というツッコミありがとうございます。
どういうことかと申しますと、まず業務用マシンと家庭用マシンって何が違うの?というお話からになるのですが、一つの大きな違いはエスプレッソの抽出とミルクスチームを同時に行えるかどうかという点にあります。そこに関わってくるのがシングルボイラーかマルチボイラーかという仕様面の差になるのですが、家庭用には価格帯の面から当然のようにシングルボイラーが搭載されています(業務用でシングルボイラーのものもあるそうです)。
さて、ここでまず問題となるのはそのスチームに関わる性能面です。通常、エスプレッソマシンのスチームOKの緑ランプが点灯してからバルブをひねってミルクスチームを開始するわけですが、緑ランプが点灯するまでせっせと溜めておかれた蒸気って家庭用ではボイラー容量が少ないために実はあっという間に使い切ってしまうようなんですよね。
いくらスチームの精度をあげようと頑張っても、スチーム途中でタンク内部の残が少なくなって、どうやっても息切れ現象が発生してしまうという半ばトラブル(=高確率の失敗)が運命付けられた仕様だったんです。もうね、レベル上げ途中で物理・魔法攻撃どっちも無効のラスボスにばったり出会ってしまったような最悪の気分ですよ。正直こんなん勝てる気しまへん(涙)
それだけでもしんどいところに追い討ちを掛けるようですが、デロンギ製ECP3220Jを含む家庭用マシン(の一部?)に搭載されているシングルボイラーさんって言うなれば個人の仕事を終えたらそそくさと帰ってしまうタイプの人でして、全体のチームプレイを重視しないと言いますか、お湯を沸かして決められた温度に達したらストップし、スチームのための蒸気が溜まってもストップ。ある意味、確実に仕様を守るスマートなお方と言えなくもありません。
つまり、スチームにおいては蒸気を溜める仕事さえ済ませたらその後のスチーミングが順調であろうがなかろうが(蒸気を使い切られるまで)御構い無しに沈黙※を決め込みます。外営業で先輩と出先に居ようが定時になったら無言で直帰してしまう無敵社員ようなもんです。
※語弊のある書き方だったので補足。沈黙を決め込んでいても、蒸気を使い切った後は再度蒸気を作る動作に戻ります。しかし、一度息切れしてしまうと攪拌に必要な勢いを取り戻す前にミルク温度の方が先に期待値に達してしまい、大きめの泡を潰しきれないまま中断せざるを得なくなります。
・・・もうね、ため息が止まりません。これは改造がどうこうで片付けられる範囲を逸脱してしまってます。「仕様です」は最強のクレーム潰しとはホントよく言ったものですね(涙)
真実を知ったその瞬間、絶望と共に目の前の事実を受け入れるしかないやるせなさが少しずつ自分を黒く塗り潰していくのが分かりました(もうやめて!とっくに筆者のHPはゼロよ!)。