【連載記事】家庭用エスプレッソマシンでラテアートへの道~準備編~第3回「ミルクフローサーの泡、なんか粗くね?こんなんアート無理やろ…」【全20回】
完全初心者が家庭用マシンでラテアート向けの泡粒の見えないレベルでクリーミーなフォームミルクを作れるようになったマル秘テクニックと全使用機材公開(全20回)
この連載記事に向いている方
- これから家庭用エスプレッソマシンを購入してラテアートもしてみたい予備軍の方
- すでに家庭用マシンは購入済みでどうしてもスチームミルクをうまく作れない方
- デロンギ社製のエスプレッソマシン(特にECP3220J系)に興味のある方および所有者
- 長文でも読破してやるぜという意気込みの方
この連載記事に向いていない方
- ラテアートの注ぎの技術を学びたい方
- 業務用マシンを使っている方
- 長文にどうしても耐えられない方
~準備編~第3回「ミルクフローサーの泡、なんか粗くね?こんなんアート無理やろ…」
さて、差し当たり風味の向上は素人なりに果たせたところで、次の懸案事項はミルクフローサーです。マシンを買ってから全く使っていなかった理由が自分でもよく分かりませんが(なんとなく難しそう?)。素人感覚ですとカフェと家との最も大きな差は、ふわふわトロける口当たりのカプチーノ(カフェラテ)を飲めることに間違いありません。更なるQOL向上に向けて付属の説明書や解説ページなどを参考に恐る恐るトライしてみたのですが・・・
なんぞこれ?
確かに口当たりの第一印象は若干モコモコしてて、それっぽい雰囲気はありますが、泡が粗いと言うかボコボコ、全体的に飲み口がシャバシャバしていてお店のものとは何かが決定的に違うような・・・。なんとなくイヤ~な予感はしたものの、もしかしたら家庭用はこんなものかもしれないと「それらしい出来栄え」にも無意識に納得してしまっていました。
そこからしばらくの間は(カプチーノに触れない)平穏なコーヒーライフを送っていたのですが、案の定、またあの恐るべき「慣れ」がやってきました。もっと光を~的な渇望ってヤツです(歳がバレそう)。
せっかくエスプレッソマシンを購入したからにはもっと活用できないものか・・・せや!アレがあるやん、アレ!アートや、ラテアート!ちゅーか、あんなん素人さんに出来るもんなんかいな?まあええわ、かっこええし、とりあえずやってみたろ!
何事も形から始めるタイプの自分は、ラテアートに必要らしいミルクジャグ(大は小を兼ねる!?たっぷり目の400ccのもの)をAmazonチョイスで適当に見繕った後、まずカプチーノとカフェラテの違いから勉強を始めます。なるほど、単純にエスプレッソとフォームミルクとスチームミルクの3者のバランスの違いとのこと(なるほど!さっぱり分からん!)。
ほんなら、適当にスチーム時間を減らしてカプチーノからモコモコした泡の部分を減らせば自然とカフェラテが出来上がるんちゃうか。その時、ミルクをかっこよくユラユラ注いどけばアートになるに違いないやん!(確信)
そんな安直な発想でラテアートに挑んで出来上がったのがこれ。
いまいち過ぎる・・・。泡ボコはマシになったように見えますが、せっかくのアートもこれじゃ只のシミにしか見えません。お味の程も推して知るべしです。そもそもクリーミーさが皆無で水っぽいシャバシャバした舌触り。お店のクオリティとは天と地ほどの差。同じ飲み物とは到底思えません。
カプチーノに比べてモコモコ感が減る分には良いのですが、何十杯作っても水っぽい飲み口は変わらず雑に淹れたコーヒー牛乳と大して変わりません。いったい何が原因なんでしょうか。単純な経験不足?それとも家庭用マシンに期待しすぎ?
悔しさMAXで急遽ネット検索の鬼と化し、昼夜調べ続けた自分に一つの光明が差します。
ネット上の経験者1
「格安の家庭用マシンでもラテアートはできる」
ネット上の経験者2
「ラテアート失敗の原因はほとんどがミルクスチーム」
ほら、経験者は出来てるやん!ただスチームが失敗してるだけやん!でも失敗て何なん?まずは失敗しているのがどういう状況なのかを理解することから始めました。
まずカフェラテが水っぽいとはどういうことか。エスプレッソは液体全体に占める割合としては少ないし、そもそも含有物が豆の成分と水だから抽出が適量なら問題ないはず。となると理由は他にありそうです。そこで問題あぶり出しのためにカフェラテを作る自分なりの当時の手順を振り返ってみました。
【当時のカフェラテ~アート作成手順】
(1)エスプレッソマシンの電源オン → (2)豆を挽く → (3)粉をポルタフィルターに詰める → (4)抽出準備OKの緑ランプ点灯後に一瞬お湯出し → (5)ポルタフィルターをマシンにはめてカップに抽出開始 → (6)適量で停止 → (7)スチーム電源オンに切り換え → (8)ミルクジャグに牛乳イン(なんとなく160cc) → (9)スチームOKの緑ランプ点灯後に空ぶかし(予習動画で見た感じで) → (10)スチームノズルをミルクジャグに差し込んでスチーム開始(当時の自分に泡入れ・撹拌の厳密な概念なし) → (11)なんとなくミルク完成 → (12)ノズルを拭いて空ぶかし → (13)エスプレッソに出来上がったミルクをユラユラ注ぐ → (14)毎回アート失敗
以上の14項目を水っぽさの原因になりそうなものでフィルタリングすると、なんとなく(8)~(10)辺りが怪しそうです。考察してみると、
(8)ミルクジャグに牛乳イン(なんとなく160cc)
→ミルクもシャバシャバした液体には違いないので多く入れすぎた?
(9)スチームOKの緑ランプ点灯後に空ぶかし(YouTube動画で見た感じで)
→空ぶかしでノズル内に残った水分を排出し切れていない?
(10)スチームノズルをミルクジャグに差し込んでスチーム開始
→スチーム中にミルク中の水分が増えてしまっている?
以上3点のうち、
(8)は、我が家でカフェラテに使用しているカップ(=240cc)に対して、エスプレッソ抽出量は当時40cc前後でしたので、一般的なレシピ(エスプレッソ2:牛乳8)で言うところの目安160cc丁度ですので適量です。ミルクジャグの内側に「6」って書いてあるところが160ccのところですよね?え!違う?6オンス?オンスって何!?100と200の間の6だから160じゃないの?・・・ハイ、20ccほど多く入れてしまってましたー!しかしながら、適量に修正してみても一向に改善は見られません(汗)ひとまず保留とします。※6オンス=約180cc
(9)、これは盲点でした。Youtube動画の解説者は空ぶかしを一瞬しかしていなかったことと、「シャッ!」という音がバリスタの決め技っぽくてカッコよかったこともあり、何も考えず同じように真似していました。冷静になってよくよく観察してみると、ECP3220Jはスチームランプ点灯直後にバルブを開放すると、ノズルから蒸気とは別の水しぶき(愚かにも最初はこれが蒸気だと思っていました)が大量に出続けていました。コップに溜めてみればそれこそ数十ccレベルで。どうやらこの機種では空ぶかしを5~10秒、場合によってはそれ以上行わないとスチームは純粋な蒸気だけにはならないようです。つまり、一瞬の空ぶかしだけでは、かなりの水分がノズル内に残ったままスチームに移行してしまっていたということになります。これは大問題ですね。
※ちなみにスチームランプ点灯後しばらく放置したり、連続してスチームしていたりすると、ノズル内の水分量は一時的に減る方向で推移するように感じます。法則性が分かれば追記します。
(10)は、(9)をきちんと実施している前提ですが、スチーム中には当然一定量の蒸気(=水分)が液体中に混入するので、回転式のミルクフォーマー等を使用しないのであれば、ある程度はやむを得ません。これは業務用でも共通していることかと思われますので原因候補から除外して良さそうです。でもネット上の経験者2さんは失敗の原因はほとんどがミルクスチームだって言ってたのになぁ・・・悶々。
この中で明らかに主原因と思われた(9)ですが、予想外にも対策後に目立った改善は見られませんでした。すると残るのは改善しないまま保留した(8)ということになるのですが・・・。あまりに無策ゆえ答えに窮した自分はここで初めて「水っぽい」の概念の方に疑問を持ち始めます。
「うちのカフェラテが水っぽいのって、本当に水分が原因なんだろうか?」
「逆にお店で飲むカフェラテは上質な生クリームのようにふわふわだなあ」
「ん?・・・生クリーム!?( ゚д゚)ハッ!」
そう。生クリームといえば空気を含ませながら撹拌することでボリューム感と口当たりの滑らかさを実現しています。自分はここでやっと「ミルクに含まれる空気の重要性」に気が付きます。
さっそく視点を変えて原因のあぶり出し再開です。前述の14項目の中でミルクと空気に密接に関連していそうなのって十中八九(10)ですよね(ネット上の経験者2さん、疑ってスミマセンでした!)。
となると悪いのは空気の入れ方か?はたまた他の要素か?でも待てよ・・・カプチーノを作っている時、下手なりにモコモコの口当たり(=空気が含まれている)は出せているのに全体のシャバシャバした水っぽさは今と変わらないような・・・?あーもう、なんでなんや・・・わっからーん!(白目)
そのまま何週間経っても改善法は見出だせず、日々出来上がるのは相も変わらずシャバシャバ・ラテとカプチーノ。もはや半ば諦めかけていたのですが、たまには気分転換をとエスプレッソマシン業界の情報を探索していたところ、興味深いトピックスが目に飛び込んできました。
「家庭用エスプレッソマシンの改造方法を解説!」
え・・・改造?マジで・・そんなんアリなん?で、でもアレやろ。どうせ分解したり、ハンダごてつこたりテクがないとあかんヤツやろ・・・?え、ちゃうの!?
正直、目の前のマシン性能を受け入れることしか考えになかった自分にとって、「改造」というパワーワードは目からウロコでした。改造できることが、ではありません。「改造しないと何かしら難がある」という新たな視点が、です!これは自分的にはコペルニクス的転回でした。ハラショー!
予想外に見つけた「マシンの改造情報」。目の前の問題解決に向けてもたらしてくれる効果は果たしてあるのでしょうか!?
次回「準備編・第4回(【定番改造?】スチームノズルの金属部を金切のこで切断!)」へ続く・・・