どろぬま珈琲 マル秘メモ

完全初心者が家庭用エスプレッソマシンでラテアートを習得するための備忘録

【補足】家庭用エスプレッソマシンでラテアートへの道~準備編~「ECP3220J ミルク・スチーミングの詳細すぎる手順解説」

【注意】当記事は2022年2月時点の原稿のため、現在の筆者の考えと一部異なります。参考程度にご覧ください。

(現在の筆者の考えに至るまでの経緯を把握しやすくするために敢えて過去の保留原稿をアップ中)

ECP3220Jイメージ

 

完全初心者が家庭用マシンでラテアート向けの泡粒の見えないレベルでクリーミーなフォームミルクを作れるようになったマル秘テクニックと全使用機材公開(全20回)

この記事に向いている方

  • これから家庭用エスプレッソマシンを購入してラテアートもしてみたい予備軍の方
  • すでに家庭用マシンは購入済みでどうしてもスチームミルクをうまく作れない方
  • デロンギ社製のエスプレッソマシン(特にECP3220J系)に興味のある方および所有者
  • 長文でも読破してやるぜという意気込みの方

この記事に向いていない方

  • ラテアートの注ぎの技術を学びたい方
  • 業務用マシンを使っている方
  • 長文にどうしても耐えられない方

~準備編~補足「ECP3220J ミルク・スチーミングの詳細すぎる手順解説」

今回は、連載記事の第20回【まとめ】家庭用マシンでクリーミーなミルクスチーム」でお伝えしたミルクスチーミングのやり方について、裏技「ボイラー騙し」の前準備としてスチームを出し切った後の項目5~6を補足していきます。

 

5.(室温や本体温度にもよると思いますが)10~15秒程度で緑ランプが再点灯してしまうので、その前にミルクジャグにノズルを入れバルブを開放する
※ここでスチーム完了までに緑ランプが点灯してしまったら失敗です(=バルブ開放のタイミングが遅かった)。バルブ開放の頃合いは本体から「シュルシュル音」が聞こえ始めた辺りです。

6.安心してミルクスチームを滞りなく完了する
※5と6に関しては別記事で詳しくお伝えしたいと思います。ここが当記事

 

【5の補足】ボイラー騙しはタイミングがシビア!

ボイラー騙し(サーモ騙し)のテクニックはめちゃくちゃ便利なんですが、(スチーム準備完了を示す)緑ランプの再点灯直前にバルブを開放するタイミングが意外とシビアでして、気を抜くと「予想より早く点灯してもうた~!」など結構簡単に失敗してしまいます。消灯から再点灯まで10~15秒と書いてはいますが本体の状況によっても前後しますので、「シュルシュル音」が聞こえ始めたらさっさとバルブ開放してしまう方が失敗する確率は低くなると思います。

 

もし出遅れて点灯してしまったら、スチームを一旦出し切ってランプ消灯後に再開すればいいのでは?と思うかもしれませんが、例えばカフェラテ作りの手順として先にエスプレッソを抽出しておくスタイルの場合、その間、エスプレッソは冷えるわ、クレマは消えゆくわで正直オススメできません。なるべく一回で成功することを目指します。あるいは家庭用マシンのラテアートはミルクスチームが先!という風にスタイルが固まっている方はお気の済むまでどうぞ(笑)
エスプレッソの抽出が先かミルクスチームが先かについては諸説あるようですので、また別の記事で。

 

【6の補足】ミルクスチーミングの詳細すぎる手順

補足というか、一番難しい部分を完全に端折っていましたので詳しく書いていこうと思います(笑)バルブ開放後のスチームの手順ですが、世界中のサイトをなめるように見回し試してきた筆者が「(うちの環境では)たぶんこれだ」と思った正解然としたやり方を以下に記します。筆者と同じデロンギECP3220Jをお使いの方には必見の内容となっております(笑)環境違いの方はお手数ですが各自お読み替えを・・・。

 

■手順0「バルブ開放前準備その1~ジャグのポジショニング~」

シリコン製のノズルが露出した状態(根本を結束バンド留)で、正面から見たノズルの向きを本体接地面と垂直(※)にし、角度を本体奥から手前に向けて15~30度ほど傾ける
※ミルクの表面に届かない場合のみ最小限下方向に傾ける。

 

■手順1「バルブ開放前準備その2~ノズルポイント合わせ~」

左手は温度確認用にジャグの側面~底に触れる姿勢で、右手でミルクジャグ(12oz)の持ち手をアナログ時計の4時半方向(筆者の好みです)で持ち、地面と水平にまっすぐ持ちながらノズル下に配置。そのままミルク表面に1cm程度ノズルを差し込みます。差し込む位置はミルクジャグを上から見たときに、4時半と10時半を結んだ直線を三等分するポイントの4時半側から一つ目地点。ここにうまく差し込むと予め傾けておいたノズルの角度との相乗効果でミルクが横回転(超重要しやすくなります。

 

これに加え、筆者はノズルを差し込んだ後にジャグを僅かに傾けると良いというテクニックを海外の動画で見かけ今も実践しています。今回の場合、手首を時計回り(右回転)に5~10度ほど回す感じで傾けます。気分的にはおまじない感覚ですが効果もある気がします。ジャグの壁が地面と垂直であるより、少し角度をつけたほうが重力等の関係で底面付近の蒸気の効率的な跳ね返り運動を期待できるのかもしれません。

 

■手順2「バルブ開放~ミルクの回転軸探し~」

差し込みポイントが定まってバルブを開放すると、すぐに勢いよく横回転を始める場合と、僅かなポイントのズレで回転がもたつく場合があります。後者の場合は速やかにノズルを現地点からミルクジャグの壁に近い方向に前後左右3~5ミリ単位でずらす(※)などしてミルクが回りだすポイントを探ります。ミルク温度上昇のリミットまで時間との戦いです。このポイントをいかに早く見つけられるかがスチームミルクの完成度を大きく左右します。
※ジャグの形状にもよるとは思いますが、筆者の環境では経験則的に下方向にずらすと回りだすことが多い気がします。

 

■手順3「空気入れ作業~ミリ単位の上下運動~」

(この時点でバルブ開放後2~5秒程度)遠心力で渦巻のように中心が凹んでくるなど横回転が割合高速で安定してきたら今度は重要な空気入れ(=フォームミルク作り)です。1cmほど差し込んでいたノズルを液面近くまで上昇させると、チチチッという軽い音と共に空気が入ってくれるポイントがありますので液面の上昇(=空気が入っている)を見ながら必要量(カフェラテの場合、元のミルクの1.2~1.3倍程度)になるまで続けます。勢い余ってゾゾゾッという音がするポイントまでノズルを上げてしまうと、チチチッに比べて大きめの泡粒が一気に入ってしまい、後半で撹拌しきれずに粗い泡粒が残りやすくなるため要注意です。なお、回転運動はこの時点でも維持されているのが理想です。

※ちなみに腕のある経験者はこのゾゾゾッとチチチッを巧みに使い分けて空気入れの時間を短縮することもあるようです。うまく行けばその分撹拌時間が伸びるので確かに有用ですね。言い換えれば、ある程度なら空気入れ時に大粒の泡が入っても腕次第で撹拌によって潰せる可能性が残されているということです。

 

■手順4「撹拌作業 前半~斜め回転のマグマ召喚~」

液面が必要量まで上がったら次は撹拌作業(=取り込んだ空気を細かく潰して全体に行き渡らせる)です。今までの横回転では空気がぐるぐる回ってしまうだけなのでそこに縦回転を加える、つまり斜め回転にすることでミルクをジャグ内で縦横無尽に暴れさせます。その過程で大きめの泡粒同士がぶつかり合って細かくなってくれれば御の字です。やり方はノズルを液面に差したまま最初に見つけた横回転ポイントから右方向(=ジャグの壁方向)に1cm程度ずらし、空気入れ時より5mm~1cm程度深めに沈めるだけ。それまでの綺麗な渦巻にマグマのボコボコのような沸き立つ動きが加わったら(筆者的には)成功です。そういうポイントが見つかるまでは2.と同じく前後左右3~5ミリ単位でずらしてスウィートスポットを探す必要があります。

 

■手順5「撹拌作業 中~後半~荒ぶる神を沈める~」

撹拌中(特に後半)は液面が暴れ過ぎることもあります。その時はもう少しだけノズルを深く沈めて均衡を図ります。暴れた液面から一瞬でもノズルが露出してしまうと余計な空気が入ってしまう恐れがあるからです。撹拌中に不用意に入ってしまった空気を潰し切るのは容易なことではありません。先にミルクの温度上昇がリミット(65度前後)を迎える可能性の方が高いです。

 

■手順6「撹拌作業 終盤~温度と最後っ屁に注意~」

感じ方に個人差はあると思いますが、撹拌およびスチーム中のミルクの温度が50度を超えた辺りから、ミルクジャグに触れている手肌に刺すような熱さを感じ始めます。筆者は手の皮が薄いので触れ続けることができず、ちょんちょんと触りながら確認しています。ミルクが狙った温度(55~65度)に達する少し手前でバルブを閉じます(※)。この時注意したいのが、スチーム音が完全に鳴り止むまでノズルを液面から出してはならないということ。最後っ屁ではないですが、経験上、余計な泡が液面に発生することがあります。
※手前にする理由はジャグの予熱等で僅かに温度上昇してしまうマージンを確保するため。なお、ジャグ伝いの55~65度のミルク温度の感覚は事前に温度計を使って体験しておくことをオススメします。65度以上の領域ではミルクの成分が分離を始めてボソボソになったり大きな泡が残ったりといった質感上の問題が懸念されます。

 

■手順7「仕上げ~カッコいいけど最小限を目指す~」

ノズルを拭き上げ空ぶかしをしたら、(1)流し台等の上でミルクジャグの底を軽くトントンと叩き、(2)ワインのスワリングのように液面をくるくる回す一連の動作(1+2)数回繰り返します。こうすることで撹拌作業で潰しきれなかった大きめの泡を潰しつつ、ジャグ内のスチームミルクとフォームミルクを馴染ませる仕上げ(というより帳尻合わせ?)のような効果があるそうです。然る後、肉眼では泡粒の見えないピカピカの光沢あるミルクになっていれば晴れて完成です。
トントン+くるくるの作業はあくまで微調整です。実際はミルクスチーミングの時点で調整が不要なくらいピカピカクリーミーに仕上がるのが理想的(どこかの解説サイトの受け売り)です。

 

格言【ミルク(牛乳)は農産物なので不安定が当たり前】

忘れてはならないのが扱っているのがミルクという不安定なものであること。これは泥沼にハマって2年以上経過した今この記事を書いている時点で気がついたことなのですが、ミルクスチーミングが安定しない大きな原因は、まず成功体験不足による不完全な技術の癖化、連載記事でもお伝えした(家庭用では特に)ハード面の制約、そして「ミルクという飲料そのもの」ではないかと。

 

どういうことかと言うと、牛乳って例えばどのスーパーでも売られているような大手商品なら当然品質も安定していそうに思いますよね。確かに表向きの仕様上はそうなんですが、厳密には乳牛のエサは季節によって変わるため、特に成分無調整乳では乳脂肪分以外の各成分の割合も季節ごとに(大幅ではないにせよ)変わってしまうそうです。一般には乳牛の水分摂取量等の関係で夏はサッパリ、冬は濃厚だとか。調べていて地味に驚いたのが商品ラベルにある「乳脂肪分3.5%以上」という表記も年間を通した平均値ということらしく、目の前にあるその牛乳が実際何%なのかを表すわけではないようです。つまり、出荷ロットによっては3.5だったり3.7だったり様々だということが想像されます(あ、、、年間平均値なら一時的に3.4以下もあり得るってこと?)。

 

しのごの御託を並べて何を言いたいかと言うと、牛乳は同じ銘柄の商品を買っていても毎回同じ成分のものとは限らない不安定なごく普通の農産物であるということです。かのラテアート世界一の澤田洋史氏をして、フォームミルクはその日その日で状態が変わると言わしめた(らしい)ほど繊細でアナログなものなんです。そんな安定しないものを毎回高温の蒸気でぐちゃぐちゃにかき回すんですから、むしろ多少のブレはあって然るべきかもしれません。即ち安定させるべきは、そういう不安定要素をカバーするスチームの技術であり、一貫したハード面の作法であるということが言えると思います。

 

関連記事 第20回【まとめ】家庭用マシンでクリーミーなミルクスチーム」

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